“招き猫の発祥の地”というのは結構いろんな場所にありますが、 東京の“招き猫発祥の地”として最も有名なのはここ豪徳寺でしょう。

もともとは世田谷城(※1)の5代目城主、 吉良政忠が伯母にあたる弘徳院(4代目城主、頼高の娘)のために、文明12年(1480年)に 城内に創建された小庵でしたが、 小田原の役での世田谷城開場 とともに荒れ果てさびれてしまいました。

そしてそのさびれはてた弘徳庵の住職は、 飼っていた愛猫タマに向かって、こんなにかわいがってやっているんだから何か恩返しでもしてくれよ、と、 およそ 聖職者とは思えない愚痴を繰り返してつぶやいていたらしいのです。

そんなある夏、近江彦根城主、井伊直孝(※2)が鷹狩で近くを通りがかったのですが、 この猫のタマちゃんが井伊直孝ご一行の前に立ちはだかり、 “おいでおいで”の招き猫ポーズで 弘徳庵の方に導いたのです。

最初は気味悪がった井伊直孝も、 何を思ったのかネコに導かれるままに弘徳庵にやってきたとたん、 あたりはものすごい雷雨にみまわれるではありませんか!

井伊直孝は雷雨から逃れられた嬉しさと、その雨宿りの最中に住職から聞いた法話に 感動したことがきっかけで、その後、その庵を豪徳寺と名前を改め、 井伊家の菩提寺としたんだそうです。

それ以来、豪徳寺は栄えて、いまでも世田谷の住宅街にどかーんと敷地を構えているというわけです。 当然、今も境内には 猫観音を祀る招猫殿が建っています。 まさに福を招いた猫(※3)ということですねぇ。猫を飼っている方は ものは試しに頼みごとをしてみてはいかがですか♪



豪徳寺境内と入り口近辺の山崎商店では招き猫を売っております。 ご予算と部屋のスペースに応じてサイズが選べますよん♪ 

寺院の境内に犬を連れて入るのを禁じているのはよくあることなんですが、 ネコを祀る寺だけに、なんとなく気になってしまいました。。。

豪徳寺入り口に門を構える山崎商店のネコ。 看板の招き猫を威嚇しておりました。



※1 世田谷城

現在の豪徳寺近辺にあった世田谷城は、 南北朝期の中盤、貞治5年(1366年)に 吉良治家が鎌倉公方・足利基氏より武蔵国荏原郡世田谷を拝領して この地に居住するようになり、建てた城です。

吉良氏とは 足利氏と同祖であり、かなりの血筋の良い家柄だったようです。 なにしろ本家の三河吉良氏(あの「赤穂浪士」で討たれた吉良上野介の先祖)は「足利幕府に世継ぎなくば吉良氏より」と言われるほどの名門で、 世田谷城主となった武蔵吉良氏も、関東では、 関東足利家、関東上杉家に次ぐ第三の名門でだったとか。 吉良成高(治家を初代世田谷吉良氏とすると6代目)は、あの太田道灌(上杉家家宰)からも「吉良殿様」とよばれていました。 (成高は太田道灌とともに、長尾景春の乱に呼応した豊嶋氏を退けています。これは 江古田・沼袋の戦い 〜三法寺池に沈んだ黄金の鞍〜 として駄文を書きました。)

その後、世田谷吉良氏7代目頼康は後北条氏と結びましたが、後北条氏と豊臣秀吉との戦い(小田原の役)の際に、 世田谷吉良氏8代目氏朝(頼康の養子=後北条家の血筋)は世田谷城を明け渡し、世田谷吉良氏は 滅びました。そしてあとに残された世田谷城は、城の木材、石材をその後の 江戸城の改修に使われたとか。当時の日本はとても環境に優しい循環型の社会システムをしていたのですねぇ。 (世田谷吉良家の●代目はコチラを参照しました。)

※2 井伊直孝

とてもおっかない人だったようです。 なんつったって「夜叉掃部」とか「彦根の赤牛」とかいった呼び名がついていますし、 直孝の父親の直政も「井伊の赤鬼」と呼ばれていたということなので、 そのおっかなさぶりも筋金入りってとこでしょう。幕末の井伊直弼も彼の子孫で、 あだ名が「赤鬼」だったとか。一体どういう家系なんだ。

※3 福を招いた猫

「福を招いた」豪徳寺の招き猫は右手を上げていますが、実は左手を上げている招き猫もいるのです。

都内では豊島区西巣鴨の西方寺の招き猫が「左手招き猫」で、こちらは「災難から主人を救った猫」なんだとか。その他にも現在けさぱさ招き猫探検隊では全国の招き猫を調査分析中です。

右手か左手かは招き猫ファンにとってはかなりコダワルところなんですが、 豪徳寺近辺の商店街で見つけた看板(右の写真)ではなんと左手を上げているではありませんか!

  これは単なる無頓着からきた間違いか? それとも何か意味があるのか? う〜む。




世田谷のお屋敷に囲まれた、住宅街としてはかなり広い敷地です。

重厚なイメージの山門です。境内には井伊直弼の墓もあります。

小田急小田原線「豪徳寺駅」から豪徳寺商店街をぶらぶら歩いて行くのがオススメです。 寄り道しなければ徒歩15分ぐらい。 東急世田谷線「宮坂駅」からだと徒歩3分。

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