新郷土料理探検

桜海老丼(静岡県 由比地方)

静岡県の桜海老のかき揚げは、農林水産省の郷土料理百選にも選定されている。

特に、由比町では「日本一桜海老の町」を宣言して、
本物の味を継承・宣伝する活動を行っており、その中でも桜海老丼は今や由比の代名詞とも
いえるご馳走だ。

しかし由比の桜海老丼は、単に自然の恵みに甘んじた郷土料理じゃない。 自然の恵みに、
漁師さん、料理人、そして科学者の知恵と努力が結びついた至極の作品だったりするのだ。
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由比港の美味い桜海老丼を喰わせる店の存在を友人から聞き、
だったらそれを喰ってやろうじゃないかと、平日朝からツレと一緒に、
由比港に隣接する 「浜のかきあげや」 に行ってきた。

港に建てたプレハブの中に調理場を備え付け、
手渡された料理を外のベンチで食べるという、実にフランクなお店だ。

さすが平日の朝だったので、客は我々 社会の落ちこぼれ組み だけ。
さっそく写真の「桜海老丼」や 釜揚げした桜海老とシラスが乗った「由比どんぶり」をオーダーした。

早朝だったためか、「揚げている最中なので時間がかかる」とのこと。 なんと揚げたてをいただけるとは、やはり早起きは三文の得だ。

で、肝心の味の方だが、もう文句無く美味い! 海老の香ばしさや甘みも最高だし、揚げたてのカラッと感も最高だ。
なにより、すぐ数メートル先から水揚げされたばかりだというフレーズが、この料理の価値を無限に
高めてくれている。

釜揚げ桜海老とシラスの「由比丼」も秘伝のタレとワサビとよく合って、これまた最高。
ワタシのような魚好きでご飯好きな御仁には
たまらないファーストフードであろう。

しかし特筆すべきは、この桜海老のかき揚げが、
地域性に甘んじているだけの料理なのではなく、高度な科学技術の賜物であるのだということだ。
かっては獲れた桜海老を天日干し保存していたものをかき揚げにしていたそうだが、
保存技術を研究・進歩させることにより、
現在では一年中、生の桜海老をそのままかき揚げにしているのだ。

そうか、生をそのまま揚げるから、
こういう香ばしさと甘さが出るんだなぁ、とまた更に感動する。

地域の恵に加え、科学技術の進歩が織り成す最高のかき揚げ。
これぞ自然と科学との調和というものだ。

ワタシが少年時代の1970年代では、確かに 「科学は人間を幸せにするためにあり、
科学の進歩は人類の進歩そのもの」 であったのだ。 公害やオイルショックでそれは幻想なのだと思われた時期もあったが、
由比の桜海老丼が、ワタシを大阪万博の頃の希望にあふれた時代へとタイムスリップさせてくれたような気がした。

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